録音を聞き返したら「声が小さくて聞き取れない」。パソコンの音量を最大にしても物足りない——Audacityを使っていると、まずここでつまずきます。
この記事では、録音した音を大きくする方法を、いちばん簡単な順に説明します。似ている「増幅」と「ノーマライズ」の違い、そして音割れさせないための注意点までまとめました。
まず「どこが小さいのか」を見分ける
作業の前に、波形を見てください。Audacityの画面に出ている、山みたいなギザギザの形です。
| 波形の様子 | 状態 | やること |
|---|---|---|
| 細い線のように、ほとんど平べったい | 録音そのものが小さすぎ | 録り直しを検討(この記事の最後で説明します) |
| 山はあるが、枠の半分にも届かない | ふつうに小さい状態 | ノーマライズか増幅で解決します |
| 山が枠の上下にぶつかって平らになっている | すでに音割れ気味 | 大きくしてはいけません |
真ん中のパターンなら、これから説明する方法で気持ちよく解決します。
いちばん簡単:ノーマライズで大きくする
迷ったらこれです。「いちばん大きい音」を基準に、ちょうどいい大きさまで自動で持ち上げてくれます。自分で数値を考えなくていいのが利点です。
- キーボードの Ctrl+A で全体を選ぶ
- メニューの「エフェクト」→「音量と圧縮」→「ノーマライズ」を選ぶ
- 数値はそのまま(-1 dB)でかまいません
- 「適用」を押す
波形が一回り大きくなれば成功です。再生して確かめてみてください。
「増幅」との違いは?
となりに「増幅」というよく似たメニューがあります。名前が違うだけに見えますが、考え方がはっきり違います。
| ノーマライズ | 増幅 | |
|---|---|---|
| やること | 目標の大きさに合わせる | 指定したぶんだけ持ち上げる |
| たとえるなら | 「身長170cmに合わせて」 | 「10cm高くして」 |
| 複数トラックを選ぶと | 全部が同じ大きさにそろう | 全部が同じ量だけ上がる(音量差は残る) |
| 向いている場面 | とにかく適正な大きさにしたい | 「あと3 dBだけ」など微調整したい |
増幅を使うときの手順も同じです。Ctrl+Aで全体を選び、「エフェクト」→「音量と圧縮」→「増幅」。数値を入れて「適用」します。
ここで知っておくと便利なのが、増幅の画面を開くと、最初から「これ以上上げたら割れる」ぎりぎりの数値が入っていることです。公式マニュアルにも、そのまま「適用」を押せば音量を最大にできると書かれています。逆に言えば、その数値より大きくすると音割れします。
配信・投稿に使うなら「ラウドネスノーマライズ」
stand.fmやYouTubeなどに出す音なら、もう一段いい方法があります。「ラウドネスノーマライズ」です(Audacity 3系までは「ラウドネス正規化」という名前でした)。
ふつうのノーマライズが「いちばん大きい一瞬」を基準にするのに対して、こちらは「人の耳に聞こえる平均的な大きさ」を基準にそろえます。ひと言だけ大きな声が入っていると、ノーマライズでは全体が小さいままになりがちですが、ラウドネスノーマライズならそうなりません。
- Ctrl+Aで全体を選ぶ
- 「エフェクト」→「音量と圧縮」→「ラウドネスノーマライズ」
- 音声配信なら -16 LUFS あたりを目安に
「声の大きいところと小さいところの差」も整えたい場合は、コンプレッサーやリミッターと組み合わせます。その手順は別の記事にまとめました。→ Audacityで音量をそろえる方法|小さい声・大きい声を一発で整える手順
そもそも録音が小さすぎるときは
波形がほとんど一本線のときは、大きくしても「サー」というノイズまで一緒に大きくなるので、きれいになりません。この場合は録り直しが近道です。
- マイクとの距離を近づける…こぶし1つ分くらいがめやすです
- Windowsの入力音量を上げる…「設定」→「システム」→「サウンド」→入力のマイクを選び、入力音量のつまみを上げます
- 録音前にメーターで確かめる…声を出したときに、メーターが中ほどまで元気に動いていればOKです
- 正しいマイクが選ばれているか確認する…ヘッドセットをつないでいるのに内蔵マイクで録れている、というのはよくある話です
録音のやり方そのものに不安がある方は、こちらもどうぞ。→ Audacityで“録音→MP3書き出し”まで|初心者向け最短手順
よくある質問
Q. メニューに「ノーマライズ」が見当たりません
Audacity 4.0で、エフェクトの置き場所と名前が少し変わりました。「エフェクト」→「音量と圧縮」の中を探してみてください。それでも見つからないものは「レガシー」という分類に入っています。変更点はこちらにまとめています。→ Audacity 4.0で何が変わった?
Q. 一部分だけ大きくできますか?
できます。Ctrl+Aで全体を選ぶかわりに、波形の上をドラッグして大きくしたい部分だけを選んでから、同じ操作をしてください。
Q. 音を小さくすることもできますか?
できます。「増幅」の数値にマイナスの値(例:-3)を入れれば、そのぶん小さくなります。
Q. 保存したら、また小さくなってしまいました
Audacityの「保存」は作業用のファイル(プロジェクト)を残すだけで、音のファイルにはなりません。MP3などにするには「書き出し」を使います。ここは本当に間違えやすいところです。
まとめ
音が聞き取りやすくなるだけで、録音はぐっと聞きやすくなります。ぜひ試してみてください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。それではまた🐧


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