Ankiの使い方|読んだ本を忘れないための無料暗記アプリ【インストール・日本語化・2026年版】

Ankiは思い出せた度合いに応じて次の出題日を変える暗記アプリ パソコン

本を読んだのに、1か月後には内容をほとんど覚えていない。資格の勉強で、覚えたはずのところをまた間違える。——身に覚えがあります。

忘れるのは当たり前で、こちらの根性が足りないわけではありません。問題は「いつ復習するか」を自分で決めていることです。人間は、自分が何を忘れかけているかを正しく把握できません。

そこを機械にやらせるのがAnki(アンキ)です。無料の暗記アプリで、「そろそろ忘れそう」というタイミングを計算して、カードを出してくれます。覚えているものは間隔をあけ、あやふやなものは何度も出す。それだけの仕組みですが、効き方が違います。

この記事では、インストールから日本語表示への切り替え、そして読書と資格勉強への使い方まで説明します。料金の正直な話も含めて。

この記事でわかること
  • Ankiが「ただの単語帳アプリ」と何が違うのか
  • 無料の範囲と、有料になる部分(ここは正直に書きます)
  • インストールと、英語表示を日本語に切り替える手順
  • 読んだ本を忘れないための使い方
  • 挫折しやすいポイントと、その避け方

Ankiとは|忘れるタイミングを計算してくれる単語帳

紙の単語帳をデジタルにしただけ、ではありません。肝は「いつ出すか」です。

使い方はこうです。問題が出る → 答えを考える → 「解答を表示」を押す → どのくらい思い出せたかを自分で申告する。簡単だったのか、なんとか出てきたのか、まったく分からなかったのか。

するとAnkiが「次にあなたが忘れそうな頃」を計算して、そのタイミングで出してくれます。簡単だったものは何か月も出てきません。分からなかったものは、すぐまた出てきます。

つまり「もう覚えたものを何度も見る」という無駄が消えます。限られた時間を、あやふやなところだけに使えるわけです。

基本情報

料金パソコン版は無料(iPhone版のみ有料)
最新版26.08.1
対応OSWindows 10 / 11(64bit)、macOS 13以降、Linux
日本語対応(設定から切り替え)
同期AnkiWebで無料同期
扱えるもの文字・音声・画像・動画・数式

公式によると10万枚を超えるカードでも問題なく動くそうです。何年使っても重くならない設計になっています。

料金の正直な話|iPhoneだけ有料です

ここは誤解が多いので、先にはっきり書きます。

使う場所料金
パソコン(Windows・Mac・Linux)無料
Android(AnkiDroid)無料
AnkiWebでの同期無料
ブラウザ版(AnkiWeb)無料
iPhone・iPad(AnkiMobile)有料

公式サイトには「AnkiMobileは公式のiOSアプリで、購入代金はすべてAnkiの開発資金になります」と書かれています。Android版は有志が開発していて無料です。

iPhoneの方へ
  • アプリを買わなくても、ブラウザ版(AnkiWeb)なら無料で使えます
  • ただし、アプリのほうが動きは快適です
  • まずパソコン版を無料で試して、続きそうなら買う、で十分だと思います
  • 買い切りなので、月額が積み上がる心配はありません

インストールと日本語化

① ダウンロードして入れる

Anki公式サイトを開いて、Windows用をダウンロードします。Windows 10または11の64bit版が必要です。

ダウンロードしたファイルをダブルクリックして、画面の指示に従うだけ。終わるとデスクトップに★のアイコンができるので、それで起動します。

なおWindows 7や8.1では動きません(対応していたのは古い版までです)。お使いのパソコンが古い場合は、事前に確認してください。

② 日本語表示に切り替える

英語で表示されている場合は、設定から切り替えます。

  1. 上部メニューの「Tools(ツール)」を開く
  2. 「Preferences(環境設定)」を選ぶ
  3. 「Appearance(外観)」の中の「General(全般)」を開く
  4. Languageから日本語を選ぶ

Macの場合は、ToolsメニューではなくAnkiメニューの中に環境設定があります。

ちなみにAnkiはバージョンアップのときにアンインストールが不要です。新しい版をそのまま入れれば、作ったカードは残ったまま更新されます。

覚える言葉は3つだけ

Ankiは奥が深いソフトですが、始めるだけなら3つの言葉で足ります。

カード問題と答えのペア。紙の単語帳の1枚にあたります
デッキカードをまとめた束。「簿記3級」「読書メモ」のように分けます
レビュー出てきたカードに答えて、思い出せた度合いを申告する作業

やることは、デッキを作る → カードを足す → 毎日レビューする。これだけです。ノートタイプやフィールドといった難しい機能もありますが、最初は無視して大丈夫です。

最初のカードを作ってみる

  1. 「デッキを作成」で、名前をつける(例:読書メモ)
  2. 「追加」ボタンを押す
  3. 表面に質問、裏面に答えを書く
  4. 保存して閉じる

あとはデッキを選んで「学習」を押すと、カードが出てきます。答えを見たら、「もう一度」「難しい」「普通」「簡単」のどれかを選ぶ。次にいつ出るかは、Ankiが決めてくれます。

★ 読んだ本を忘れないために使う

ここからが、このブログらしい使い方です。

読書の悩みで一番多いのは「読んだのに、内容を説明できない」だと思います。線を引いても、付箋を貼っても、開かなければ思い出しません。

そこでAnkiです。ただしやり方を間違えると続きません。コツがあります。

読書に使うときのコツ
  • 1冊につき3枚まで。全部覚えようとすると必ず挫折します
  • 文章をそのまま写さない。「なぜ?」の形にすると記憶に残ります
  • 本のタイトルもカードに入れておくと、あとで出典をたどれます
  • 読み終わった直後ではなく、数日たってから作ると、本当に残ったものだけが残ります

カードの書き方の例

先日書いた『「幸せをお金で買う」5つの授業』の書評から、実際に作るとしたらこうなります。

表(質問)裏(答え)
同じ金額を使うなら、モノと経験のどちらが幸福度が高い? その理由は?経験。モノは買った瞬間がピークで慣れてしまうが、経験は思い出として残り、語るほど価値が増すから
大好きなものを「たまに」にすると、なぜ満足度が上がる?毎日続けるとご馳走も「普通」に薄れるから。頻度を落とすと一回が濃くなる

「〜とは何か」より「なぜ〜なのか」で書くのがポイントです。理由まで思い出そうとするので、記憶に引っかかりやすくなります。

読書の記憶については読んだら忘れない読書の方法『アウトプット大全』の書評にも書いています。思い出す作業そのものが記憶を強くするという点で、Ankiはこれらの考え方と相性がいいです。

資格の勉強に使う

本来Ankiが得意なのはこちらです。用語や仕訳のように「覚えるしかないもの」に強い。

わたしは以前簿記3級を受けましたが、あのときAnkiを知っていたら、と思います。勘定科目がどちらに来るのか、何度も同じところで間違えていました。

  • 用語の定義:「減価償却とは?」
  • 仕訳のパターン:「商品を掛けで仕入れた。借方は?」
  • 数字・語呂合わせ:覚えるしかないもの全般
  • 間違えた問題:これがいちばん効きます。間違えたその場でカードにする

最後の「間違えた問題をカードにする」が本命です。Ankiは間違えたカードを何度も出してくるので、苦手なところが自動的に潰れていきます。

共有デッキという手もあります

Ankiには「共有デッキ」という仕組みがあって、他の人が作ったカード集をダウンロードできます。英単語や資格試験のデッキがたくさん公開されています。

ただし正直に言うと、自分で作ったほうが覚えます。カードを作る作業そのものが、内容を整理する時間になるからです。共有デッキは「量が多くて自作が現実的でないもの」に限るのがいいと思います。

スマホと同期する(無料)

AnkiWebという無料の同期サービスに登録すると、パソコンで作ったカードをスマホで復習できます。

これが実際いちばん効きます。電車の中や待ち時間の数分で、その日出てきたカードを片づけられるからです。机に向かう必要がありません。

すきま時間の活用そのものは読書時間を作る5つの方法と同じ考え方です。まとまった時間を待たないのがコツです。

ちょっとした小ネタ

名前は日本語の「暗記」から

「Anki」という名前、日本語の「暗記(あんき)」に由来すると言われています。Wikipediaの日本語版にも英語版にも、そう書かれています。

海外で作られた学習ソフトなのに、名前は日本語。しかも中身はまさに暗記のためのもの。名前と実態がぴったり噛み合っているのが、なんだか気持ちいいです。

ただ、正直に書いておくと、公式マニュアルには名前の由来がどこにも書かれていません。英語版Wikipediaの記述にも「出典が必要」のタグが付いています。ほぼ間違いないとは思いますが、「開発者が公式にそう言っている」という証拠は見つけられませんでした。

中身のアルゴリズムが新しくなっています(FSRS)

「次にいつ出すか」を決めている計算方法にも、実は世代交代が起きています。

長らく使われてきたのがSM-2という方式。1980年代に「SuperMemo」というソフトのために作られたもので、Ankiもこれをベースにしてきました。公式マニュアルでは、いまや「legacy(旧来の)」と呼ばれています。

それに代わるのがFSRS(Free Spaced Repetition Scheduler)です。公式マニュアルには、こう説明されています。

どれだけ忘れそうかをより正確に判定することで、同じ時間でより多くの内容を覚えられるようになります。

Anki公式マニュアル(要約)
正式名称Free Spaced Repetition Scheduler
位置づけ従来のSM-2に代わる新しい方式
設定場所デッキオプションのいちばん下にある「FSRS」
対応Anki 23.10以降/AnkiMobile 23.10/AnkiWeb/AnkiDroid 2.17以降
いちばん大事な設定目標記憶率(既定90%)

目標記憶率は「復習のとき、どのくらいの割合で思い出せている状態にしたいか」を決める数字です。上げるほど間隔が短くなり、毎日の復習量が増えます。公式は90%を勧めていて、97%を超えると負担が跳ね上がるので、それ以下に保つよう注意書きがあります。

FSRSを使うなら、これだけは
  • 思い出せなかったときは「難しい」ではなく「もう一度」を押す
  • 「難しい」は「時間はかかったが思い出せた」という意味に解釈されます
  • 忘れたのに「難しい」を押し続けると、間隔が不当に長くなって効果が落ちます
  • 公式マニュアルでも、はっきり注意されている唯一の癖です

とはいえ始めたばかりの方は、設定に手を出さないのがいちばんです。公式マニュアルにも「まず数週間は初期設定のまま使って、Ankiの動きに慣れてください」と書かれています。

「そういう仕組みが裏で動いているんだな」くらいで十分。カードを作って、毎日答える。効果のほとんどは、そこから来ます。

挫折しやすいポイント(正直な話)

Ankiは効きますが、やめてしまう人も多いソフトです。理由ははっきりしています。

  • 最初にカードを作りすぎる:張り切って100枚作ると、数日後に「今日のレビュー120枚」となって心が折れます
  • 1日休むと溜まる:出題は毎日積み上がります。1週間空けると、戻ってきたときの量に絶望します
  • 設定をいじりたくなる:機能が多いので、勉強せずに設定で遊んでしまいます
  • 見た目が地味:最近のアプリのような楽しさはありません。淡々としています
  • カード作りが面倒:ここを乗り越えられるかがすべてです
続けるための3つのルール
  • 最初の2週間は、1日5枚まで追加。物足りないくらいでちょうどいいです
  • レビューは毎日やる。3分でもいいので、空けないことのほうが大事です
  • 溜まったら、思い切って消す。全部やろうとして挫折するより、減らして続けるほうが得です

3つ目は特に大事です。Ankiのカードは、いつでも消していいものです。全部を抱え込む必要はありません。

よくある質問

本当に無料ですか?

パソコン版は無料です。公式サイトにも「The free computer version(無料のパソコン版)」と書かれています。Android版とAnkiWebでの同期も無料。有料なのはiPhone・iPad版だけです。

紙の単語帳と何が違うのですか?

「いつ復習するか」を自分で決めなくていいことです。紙だと、覚えたページも忘れたページも同じように何度もめくることになります。Ankiは、あやふやなものだけを繰り返し出してきます。

1日どのくらい時間がかかりますか?

カードの枚数しだいです。読書メモ程度(数十枚)なら、1日3〜5分で終わります。資格勉強で数百枚あると、20〜30分かかることもあります。

逆に言うと、作った枚数がそのまま毎日の負担になります。だから最初は少なくするのです。

メモアプリとどう使い分けますか?

目的が違います。JoplinObsidianのようなメモアプリは「あとで探すため」のもの。Ankiは「頭に入れるため」のものです。

読書メモはメモアプリに全部残しておいて、そのうち「覚えておきたい」ものだけAnkiに移す。この分担がきれいだと思います。

パソコンが壊れたらカードは消えますか?

AnkiWebに同期していれば残ります。登録は無料なので、最初にやっておくことを強くおすすめします。何年もかけて作ったカードが消えるのは、辞書が消えるのと同じくらい痛いです。

古いパソコンでも動きますか?

Windows 10または11の64bit版が必要です。Windows 7や8.1は対応が終了しています。お使いのパソコンが古い場合は、先に確認してください。

まとめ:1冊3枚から始める

Ankiは、「そろそろ忘れそう」を計算して出してくれる暗記アプリです。パソコン版は無料、インストーラーを実行するだけで入ります。

効き目は本物ですが、張り切りすぎると必ず挫折します。始め方はこれで十分です。

  • デッキを1つだけ作る(「読書メモ」でも「簿記」でも)
  • 1冊につきカードは3枚まで。「なぜ?」の形で書く
  • AnkiWebに登録して、スマホでも見られるようにする
  • あとは毎日3分、電車の中で片づける

本を読む時間を作るのも大変なのに、読んだ内容を忘れてしまうのはもったいない。1冊あたり3枚でも、1年で100枚以上たまります。それが全部、頭に残っている状態を想像してみてください。

まずは、いま読んでいる本から1枚。それだけで始まります。

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