「えーと」「あの」を何度も言ってしまった動画を、わざわざ再生と巻き戻しを繰り返しながら秒単位でカットする……。動画編集にそんな手間をかけて、途中で挫折してしまった経験はありませんか?タイムラインをドラッグしたり、細かい部分をズームインしてハサミツールで切ったりする操作は、慣れていないと想像以上に時間がかかります。「動画編集=難しい・面倒」というイメージから、そもそも動画を撮っても編集せずに放置してしまう方も多いのではないでしょうか。
「言い間違えた3秒間を消したいだけなのに、なぜこんなに時間がかかるんだろう」その違和感、実はもっとシンプルな方法で解決できます。
動画編集が難しく感じるのは「映像」を直接操作しようとするから
従来の動画編集ソフトは、タイムライン上の映像素材を目で見ながら、ミリ秒単位でカット位置を合わせる操作が基本です。しかし、Vlogやインタビュー、講義動画など「人が話している動画」の編集で本当にやりたいことの多くは、実は「言葉を削る」ことに尽きます。言い間違えた一言、意味のない「えーと」、長すぎる沈黙。これらは映像ではなく、話された「言葉」として認識したほうが、はるかに直感的に編集できるはずです。
この発想を形にしたのが、動画・音声編集ツール「Rescript(リスクリプト)」です。動画を読み込むと自動で文字起こしされ、あとはワードファイルの文章を編集する感覚で、消したい言葉をDeleteキーで削除するだけで、対応する映像・音声が自動的にカットされます。2026年8月にデスクトップ版が公開されたばかりの新しいツールで、非商用の用途であれば無料で使えます。
Rescriptとは?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ソフト名 | Rescript(リスクリプト) |
| 対応OS | Windows / macOS(Intel・Apple Silicon)/ Linux(AppImage・deb)/ ブラウザ版 |
| 価格 | 個人利用・非商用利用は無料。収益化しているYouTubeチャンネルなどの商用利用には有料ライセンスが必要 |
| ライセンス | PolyForm Noncommercial 1.0.0 (ソースコードは公開されていますが、非商用に限定されるため、一般的な「オープンソース」には当てはまりません) |
| 開発元 | 個人開発者(GitHub:wassgha/リポジトリ公開は2026年7月) |
| 最新版 | v1.1.8(2026年8月13日)。Windows版インストーラーは約137MB |
| データ処理 | 文字起こし・編集・書き出しのすべてが端末内で完結。ネット接続やアカウント登録は不要 |
主要機能
- 自動文字起こし(オフライン):動画・音声を読み込むと、単語ごとのタイムスタンプ付きで自動的に文字起こしされます。すべて端末内のAIモデルで処理され、外部にアップロードされません。
- 文字を消すだけでカット:文字起こしされたテキストから不要な単語や文章を選んで削除すると、対応する映像・音声区間が自動でカットされます。
- フィラーワード・無音の一括除去:「えーと」「あの」といった言いよどみや、不自然な沈黙をワンクリックでまとめて削除できます。
- 話者の自動識別:複数人が話している動画でも、話者ごとに自動でラベル分けされます。
- 言い直しの音声修正(Regenerate):言い間違えた一文をテキストで書き直すと、同じ動画内にある本人の声(約10秒分の音声)をもとに、その部分だけAIが読み直して自然につなげてくれます(現時点では英語・スペイン語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・ポルトガル語に対応)。
- 多形式での書き出し:MP4・WebM(4K対応)の動画、M4A・MP3・WAVの音声、字幕ファイルなど、用途に合わせて書き出せます。
「動画編集ソフトの操作を覚える」というハードルそのものをなくしてしまう発想が、Rescriptの一番の魅力です。文章を書いたり読んだりする感覚がある方なら、動画編集の経験がゼロでも扱えます。
従来の動画編集ソフトとの比較
| 方法 | 操作方法 | 費用 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| Rescript | 文字起こしのテキストを削除するだけ | 非商用は無料/商用は有料ライセンス | トーク中心の動画(Vlog・講義・インタビュー)の素早い編集 |
| Kdenlive・DaVinci Resolveなど | タイムライン上で映像を直接ドラッグ・カット | 無料 | テロップ・BGM・エフェクトを凝りたい本格的な編集 |
| Descript(有料クラウドサービス) | Rescriptと似たテキスト編集操作 | 基本無料枠あり、本格利用は月額課金 | チームでの共同編集や高度なAI機能を求める場合 |
| 手動でシーンを探してカット | 再生・巻き戻しを繰り返して目視で位置を探す | 無料(ソフト次第) | 編集箇所が少ない、短い動画 |
Kdenliveのような本格的な動画編集ソフトは、テロップやBGM、トランジションなど凝った演出をしたい場合に強みを発揮します。一方でRescriptは、「とにかく不要な部分を素早く削って形にしたい」というニーズに特化しているため、演出よりもスピードを優先したいときに向いています。両方を用途に応じて使い分けるのがおすすめです。
こんなシーンで活躍します
- 個人ブログやSNS用のVlog撮影をしている方:話しながら撮った動画から「えーと」「あの」を一括で消すだけで、驚くほど見やすい動画になります。
- オンライン講義・セミナー動画を作る先生や講師の方:言い間違えた部分を、テキストを書き直すだけで自然に修正できます(対応言語の範囲内)。
- 家族や友人へのインタビュー動画・記録動画を編集したい方:複数人の会話でも話者ごとに自動で分けてくれるので、誰の発言かを目で追いながら整理する手間が減ります。
- プライバシーを気にしてクラウドサービスに動画をアップロードしたくない方:文字起こしから書き出しまで、すべて自分の端末内で完結します。
- Windows・Mac・Linuxなど複数の環境を使い分けている方:同じツールをどの環境でも使えるので、乗り換えのたびに操作を覚え直す必要がありません。
インストール・使い方
- 公式サイト(getrescript.com)またはGitHubのリリースページから、お使いのOS向けのデスクトップアプリをダウンロードします。Windowsの場合は「Rescript-Setup.exe」(約137MB)です。インストールせずにブラウザだけで試すこともできます(app.getrescript.com にアクセスするだけ)。まずはこちらで試すのがおすすめです。
- アプリを起動し、編集したい動画または音声ファイルをドラッグ&ドロップします。
- 自動的に文字起こしが始まります(初回は文字起こし用AIモデルのダウンロードが入るため少し時間がかかります)。
- 文字起こし結果が表示されたら、消したい言葉やフレーズを選択してDeleteキーで削除します。該当する映像・音声区間が自動でカットされます。
- 「えーと」などのフィラーワードや無音区間は、一括除去のボタンでまとめて処理できます。
- プレビュープレーヤーで仕上がりを確認しながら、必要に応じてタイムライン上で細かく調整します。
- 編集が終わったら、動画(MP4/WebM)や音声(MP3など)の形式を選んでエクスポートします。
操作の中心は「文章の編集」なので、Wordやメモ帳で文字を削除した経験があれば、迷うことはほとんどありません。
今日からできること
まずは短い動画(1〜2分程度)をひとつ用意して、Rescriptに読み込ませてみてください。文字起こしされたテキストから「えーと」を一つ削除するだけでも、「本当に映像がカットされた」という手応えを実感できるはずです。話した内容を文字で記録しておきたい方は、以前紹介したスタエフの放送をNotebookLMで文字起こしして記事にする方法と組み合わせると、音声コンテンツの二次活用の幅がさらに広がります。
まとめ
動画編集がおっくうに感じる一番の原因は、映像を直接操作しようとすることにあります。Rescriptは「文字を消すだけ」という発想で、そのハードルを取り払ってくれるツールです。Windows・Mac・Linuxのどの環境でも同じ操作感で使え、データはすべて端末内で処理されるためプライバシー面でも安心です。ただし商用利用は無料ではないこと、日本語では音声の再生成が使えないことは、先に押さえておいてください。また公開されてまだ日が浅いツールのため、今後の更新で使い勝手や条件が変わる可能性もあります。まずは短い動画で試して、「文字を編集する感覚の動画編集」を体験してみてください。
テロップやBGMも含めてしっかり作り込みたい動画には、Kdenliveの使い方もあわせてどうぞ。書き出した動画のファイルサイズが大きすぎるときは、HandBrakeの使い方で圧縮するのもおすすめです。

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