知命と立命 書評|安岡正篤の人間学講話で知った「自反」

知命と立命 書評|安岡正篤の人間学講話で知った「自反」 読書

論語や古典に触れる機会が増えたのは、安岡正篤(やすおか まさひろ)先生の本を読むようになってからです。仕事がつらく、精神的にもきつかった時期に、人生のことを教えてくれそうな本を読みたくなったのがきっかけでした。

安岡先生の本に触れた最初のころに知った「自反(じはん)――自らに反る」という言葉は、この『知命と立命』で出会いました。

この記事で紹介すること
  • 『知命と立命』がどんな本か
  • この本で知った3つの言葉(自反・克己復礼・「省」の2つの意味)
  • 読んでから、自分の考え方がどう変わったか

どんな本?

書名[新装版]知命と立命 安岡正篤 人間学講話
著者安岡正篤
出版社プレジデント社(新装版 2015年8月)
ページ数286ページ

安岡先生の講話をまとめた「人間学講話」のシリーズの1冊です。目次は大きく3つに分かれています。

  1. 人間学とは何か:何のために学ぶのか
  2. 東洋哲学の精粋:「命」とは何か、運命は自分で作るもの、「真の自己」の発見 など
  3. 達人の人生哲学:孟子・荀子・諸葛孔明・王陽明・老子などの言葉

3つ目の最初の章が「君子は自ら反る(孟子)」。ここで「自反」に出会いました。

この本で知った言葉①:自反――自らに反る

本書では、「自らに反る」ことが『論語』『孟子』の根本の精神として紹介されています。人は外のことにばかり目や心を奪われて、自分の内面を見失いがちだ――という話です。

自分について振り返ると、仕事や家庭で何か失敗があったとき、人のせいにしがちです。特に、ほかの人や組織を原因にしがちでした。

この本を読んでからは、たとえば「自分が選んだ会社や仕事なのだから、自分にまったく無関係ではない」と考えられるようになりました。家庭についても、自分にまったく選択がなかったわけではありません。

もっと想像力を働かせて、事前に失敗に気づけなかったか、何かできなかったかと反省することもあります。ただ、ときには感情的になりすぎて、うまく考えがまとまらないこともあります。もっと落ち着いて行動できるようになりたい、というのが正直なところです。

自反については、日々の反省が自分の成長につながる(自反ー自らに反る)でくわしく書いています。

この本で知った言葉②:克己復礼

本書では、論語の「克己復礼(こっきふくれい)」――己に克って礼に復るにも触れられています。自分自身を反省して、省いていく。そうすることで向上心が生まれ、全体の調和が生まれる、という考え方です。

自反と通じるところのある言葉で、ちょっと難しい漢字ですが、覚えておきたい言葉です。

この本で知った言葉③:「省」には2つの意味がある

安岡先生は、「省」という字には「かえりみる」だけでなく「はぶく」という意味もあると言われています。長い人生には、むだなこと、どうでもいいことがいっぱいある。それを減らしていくことも、生活を良くするためには必要だ、というのです。

振り返ってみると、面白くないテレビ番組を見ている時間、なんとなくのネットサーフィン、ニュースを読むことなど、むだなことはいっぱいありました。それからは、テレビやネットのニュースをなるべく見ないように気をつけるようになりました(ニュースダイエットの書評にも書きました)。

目次には、ほかにも気になる章が

「達人の人生哲学」の章には、荀子の「禍福終始を知って惑わず」もあります。学ぶ理由は、どういう心がけならどういう結果になるのかを知って、迷わないためだ――という言葉で、声日記でも話しました(声日記:禍福終始を知って惑わず)。

ほかにも、王陽明や老子の言葉の章があります。王陽明については、転勤を決めたきっかけの記事でも書いています。

まとめ

この記事のポイント
  • 『知命と立命』は、安岡正篤先生の「人間学講話」の1冊
  • 自反:人のせいにする前に、自分に反る
  • 克己復礼:自分を省みて、向上心と調和を生む
  • 「省」:かえりみるだけでなく、むだをはぶく

反省できる習慣のある人が、日々成長できるのだと思います。自分の毎日の生活についても、気をつけていきたいものです。

ほかの古典の記事は、私を救った東洋の古典|王陽明・安岡正篤・儒教と禅の言葉にまとめています。

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