「家計簿をつけよう」と思って挫折した回数、数えたことはありますか。わたしは3回はあります。ノートも、エクセルも、レシート撮影も、だいたい2週間で止まりました。
そんな人にすすめたいのがマネーフォワード MEです。銀行やクレジットカードを登録しておくと、あとは何もしなくても家計簿ができあがります。入力する作業がないので、そもそも挫折のしようがありません。
しかも無料のままでけっこう使えます。連携できるのは4件までですが、その4件の選び方さえ間違えなければ、月々のお金の流れはちゃんと見えるようになります。
この記事では、無料でどこまでできるのか、4つの枠をどう割り振るのが正解か、そして「銀行を登録して大丈夫なの?」という不安についても、隠さずに書いていきます。
マネーフォワード MEとは:入力しない家計簿
マネーフォワード MEは、銀行口座・クレジットカード・電子マネー・証券口座などを登録しておくと、入出金の記録が自動で集まってくる家計簿・資産管理アプリです。スマホアプリとパソコンのWeb版、どちらでも使えます。
公式によると利用者数は1,700万人を突破。マクロミルの調査(2025年8月〜9月実施)でも、家計簿アプリ・資産管理アプリの利用率でNo.1と表示されています。「みんなが使っているから安心」とは言いませんが、この手のサービスでサービス終了のリスクがいちばん低い部類なのは確かです。家計簿は何年も続けてこそ意味があるので、そこは地味に重要でした。
何が「決定版」なのか
手入力の家計簿が続かない理由は、はっきりしています。「面倒だから」ではなく、「1日サボると取り返しがつかなくなるから」です。3日ためたレシートを前にすると、もうアプリを開く気になりません。
自動連携型は、ここが根本的に違います。サボっても勝手に記録が続いている。1か月ぶりに開いても、そこにちゃんと1か月分のデータがあります。これが「決定版」と言われるいちばんの理由だと思います。
無料版でどこまでできる? 連携は「4件まで」です
ここがいちばん誤解されやすいところなので、先にはっきり書きます。無料会員が連携できるのは4件までです。3件でも10件でもなく、4件。
以前は10件まで登録できたのですが、2022年12月7日から4件に変更されました。公式サポートにも「2022年12月7日以降に5件以上の口座を連携している無料会員は、表示する4件の口座を選択する必要があります」と書かれています。昔の記事を読んで「10件いける」と思っていた方は、ここだけ注意してください。
無料版と有料版のちがい(公式の比較表より)
公式サイトの機能比較表から、生活に効いてくるところだけを抜き出しました。
| 無料会員 | スタンダード | |
|---|---|---|
| 料金(Web版) | 0円 | 月額540円/年額5,940円 |
| 連携できる数 | 4件まで | 制限なし |
| データを見られる期間 | 過去1年分 | 制限なし |
| グループ作成 | 1件まで | 制限なし |
| 連携先の一括更新 | × | ◯ |
| 資産の推移グラフ | アプリで1・3・6か月のみ (Web版は不可) | ◯ |
| 広告の非表示 | × | ◯ |
| CSVダウンロード | × | ◯ |
| カード引落し前の残高不足通知 | × | ◯ |
※Web版の料金です。iPhone・Androidのアプリから申し込む場合は、アプリ内に表示されている金額になります(アプリ経由のほうが高くなることがあります)。
※もうひとつ上に「資産形成アドバンスコース」(月額980円/年額10,700円)があり、配当履歴やポートフォリオ分析が使えます。投資をしていない方には不要です。
無料版で地味に効いてくるのが「過去1年分まで」という制限です。1年は見られるので、最初の1年はまったく困りません。困るのは2年目以降に「去年の同じ月」と比べたくなったとき。ここが有料版に乗り換える人が多いポイントだと思います。
無料の「4件の枠」をどう使うか──ここが本番です
4件と聞くと少なく感じますが、選び方しだいで支出の8割はカバーできます。コツは、口座を「数」で考えず「お金の出口」で考えることです。
おすすめの割り振り
| 枠 | 登録するもの | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 給料が入る銀行 | 収入と、家賃・光熱費など固定費の引落しが全部ここを通る |
| 2 | いちばん使うクレジットカード | 変動費の大半はここに集まる。金額も品目も自動で入る |
| 3 | いちばん使う電子マネー・QR決済 | コンビニ・スーパーの少額決済を拾える |
| 4 | 証券口座(投資している人) または2枚目のカード | 資産の合計額が見えるようになる |
ポイントは「使っていない口座を登録しない」こと。残高が動かない定期預金や、年に数回しか使わないカードに枠を使うのはもったいないです。
「4件しか登録できないから使えない」ではなく、「4件で済むように支払いを整理する」と考えると、家計そのものがすっきりします。わたしはこれをやってから、把握しなければいけないカードが2枚減りました。
はじめかた(3ステップ)
むずかしい設定はありません。パソコンが苦手な方でも10分あれば終わります。
① アプリを入れて、アカウントを作る
App Store(iPhone)またはGoogle Play(Android)で「マネーフォワード ME」を検索してインストールします。パソコンで使いたい方は公式サイトからも登録できます。メールアドレスがあれば登録は完了です。
② 銀行やカードを登録する
金融機関を選んで、その金融機関のネットバンキングで使っているIDなどを入力します。いきなり4件登録しなくて大丈夫です。まずは給与が入る銀行1つだけにして、数日ようすを見るのがおすすめです。
なお、自動取得に対応していない金融機関もあります。その場合はWeb版から「未対応の口座」として手動で作ることができるので、残高だけ自分で入れて管理する形になります。
③ 1週間放っておく
ここが大事です。初日にカテゴリを完璧に直そうとしないでください。1週間ぶんの明細がたまってから、まとめて直したほうが早いですし、そもそも自動分類はかなり当たります。
わたしが最初にやった失敗は、初日に全部のカテゴリを手で直そうとして、その日のうちに疲れてしまったことでした。「入力しなくていい」のが売りのアプリなのに、結局入力していたら意味がありません。
銀行を登録して大丈夫? セキュリティの話
ここを飛ばして「便利ですよ」だけ書くのは不誠実だと思うので、正直に書きます。
公式が説明している仕組み
- 金融機関にアクセスするための情報は暗号化して保存され、256bit SSLで通信されている
- 預かるデータと認証情報は別々のサーバーに保存され、アクセスに制限が設けられている
- 金融機関のシステム構築・運用に携わってきた技術者が設計している
- 退会すると、登録したログイン情報もデータも削除される(復旧はできません)
また、そもそも「振込」や「送金」の機能はありません。見るだけのサービスなので、仮に誰かにアプリを覗かれても、そこからお金を動かされることはありません。
2026年に実際に起きたこと
安心材料だけ並べるのはフェアではないので、直近のトラブルにも触れておきます。2026年5月1日、マネーフォワードは開発に使っている『GitHub』というサービスへの不正アクセスを公表しました。ソースコード(プログラムの設計図)が閲覧・コピーされたというものです。
公式発表をたどると、経緯はこうなっています。
| 2026年5月1日 | 不正アクセスを公表。安全確認のため銀行口座連携を一時停止 |
| 5月11日 | 本番データベースの情報漏えい・改ざんはなしと発表。利用者にパスワード変更を求める必要はないとした |
| 5月12日 | 銀行口座連携を順次再開 |
| 5月20日 | お詫びとして有料会員の購読期間を15日間延長 |
| 6月5日 | すべての銀行の連携が再開 |
| 6月23日 | 調査結果(第四報)を開示。漏えいの可能性がある人には個別にメール連絡済み |
原因は、個人情報を含むファイルが本来の管理手順から外れて、誤ってGitHub上に保管されていたことだと説明されています。一方で、銀行のログイン情報はソースコードではなく本番のデータベースに暗号化して保存されているため、今回の件で金融機関に不正ログインされる恐れはないとも明記されています。
自分でやっておきたい対策
- マネーフォワードのパスワードは、他のサービスと使い回さない(これがいちばん効きます)
- ネットバンキングのパスワードも使い回さない
- スマホ本体に、画面ロックをかけておく
- 不安なうちは、メインではない口座1つだけで試してみる
お金がらみのサービスは、詐欺の入り口にもなりやすいところです。「マネーフォワードを装ったメール」には特に注意してください。架空請求やフィッシング詐欺に騙されないコツもあわせてどうぞ。
連携しない使い方もあります
あまり知られていませんが、金融機関を1つも登録せずにマネーフォワード MEを使うこともできます。公式サポートにもその方法が案内されています。
この場合は手入力の家計簿アプリになりますが、「まずアプリの画面に慣れたい」「銀行を登録するのはまだこわい」という段階には、ちょうどいい入り口です。使ってみて信頼できると思えたら、あとから1件ずつ連携すればいいだけです。
いきなり全財産をつなぐ必要はまったくありません。試して、やめる自由があるのがこのアプリのいいところです。
有料にする価値があるのはどんな人?
スタンダードコースは月額540円、年額なら5,940円(1か月分おトク)。初回に限り30日間の無料お試しがあります(一度登録したことがある方は対象外です)。
年5,940円は、月に換算すると495円。ランチ1回ぶんです。ただ、無料で足りるなら払う必要はありません。判断の目安を書いておきます。
正直なところ、まずは無料で1年やってみるのがいちばん賢いと思います。1年たったときに「去年と比べたい」と感じたなら、それは家計簿が習慣になった証拠なので、そこで払えばいいです。
なお、料金は改定されることがあります(スタンダードコースは2025年8月に改定がありました)。申し込む前に公式の料金ページで最新の金額をご確認ください。
気をつけたいところ(正直な感想)
- 現金払いは自動にならない:現金を多く使う人ほど、手入力が増えて自動のうまみが減ります
- 連携がエラーになることがある:金融機関側の仕様変更やメンテナンスで、一時的に取得できない口座が出ます
- 追加認証がある金融機関は手動更新が必要:ワンタイムパスワードを使う口座などは、自分で更新操作をします
- 無料版は広告が出ます:気になる人は有料一択です
- 細かく分類しようとすると疲れます:カテゴリはざっくりで十分。完璧を目指すと続きません
とくに最後がいちばん大事だと思っています。家計簿の目的は、きれいな記録を作ることではなく「使いすぎに気づくこと」です。ざっくりでも、気づければ勝ちです。
よくある質問
無料版は何件まで連携できますか?
4件までです。2022年12月7日から現在の制限になりました。5件目以降も登録はできますが「連携数の上限を超えた口座」となり、明細を見ることができません。表示する4件は自分で選び直せます。
パソコンだけで使えますか?
使えます。Web版があるので、スマホを使わずブラウザだけでも管理できます。ただしポイントの有効期限通知や残高不足の通知はアプリだけの機能なので、両方入れておくのがおすすめです。
アプリから課金するのとWebから課金するのは同じ?
公式の料金表はWeb版の金額です。iPhone・Androidのアプリを通じて登録する場合は、アプリ内に表示されている金額が適用されます。アプリ経由だと高くなることがあるので、料金を抑えたい方はWebから申し込むほうが無難です。
やめたくなったら、データはどうなりますか?
退会すると、金融機関の連携で登録したログイン情報も、取り込んだデータも削除されます。復旧はできないと公式に明記されているので、記録を残したい方は有料版のCSVダウンロードで書き出してから退会してください。
家族と共有できますか?
「シェアボード」という機能で夫婦の家計を共有できます。ただし無料会員は「パートナーから招待された場合のみ」利用できる形なので、自分から始めたい場合は有料が必要です。
まとめ:まず1口座、無料で1年
マネーフォワード MEが「決定版」と言われるのは、機能が多いからではなく、サボっても止まらないからだと思います。家計簿でいちばんむずかしいのは続けることなので、そこを機械にやらせてしまうのは理にかなっています。
無料版の連携は4件まで。少なく見えますが、給料が入る銀行・メインのカード・よく使う電子マネー・証券口座、この4つを押さえれば支出のほとんどは見えます。むしろ「4件で足りるように支払いを寄せる」ほうが、家計そのものはすっきりします。
銀行を登録することへの不安は、あって当然です。2026年には実際にトラブルもありました。心配なら、まずは連携なしの手入力から。慣れたらメインでない口座を1つ。その順番でまったく問題ありません。
いきなり完璧にやろうとしないこと。それだけ守れば、たぶん今度は続きます。


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