みなさん、こんにちは
マシュー・サイド氏の「失敗の科学」「多様性の科学」を拝読させていただきました。組織や集団に関する話題でして、大変面白かったです。その中でも
強いメンバーの序列、ヒエラルキーによって、集団知がうまく作用しなかったお話について思ったことを少々書いてみます。
この記事のポイント
- 組織、チームワークに興味のある方向け
- 強いメンバーの序列、ヒエラルキーによって、チームワーク/集団知がうまく作用しないことがあるため注意すべき
チームワークのコミュニケーション
チームワークを形成する上の一つのポイントとしてコミュニケーションを良くすることが挙げられます。
イメージとしては、みながチームのために意見を出し合ったり、お互いに欠点を補い合ったりすることなどです。
つまり、
1 + 1 = 2
では単純な算数ではあるのですが、良好なチームワークにより2より大きい 3 や 4 にしていきたいんですね。
そういう、よりよいチームワークを形成するために自分は苦心したりしていますが、
今回は強い上司、強い権威が作用するときの弊害について紹介させていただきます。
強いリーダーであったり、相手に権威があると、意見を言いにくかったりするので、それについての注意する必要があるようです。
マシュー・サイド氏の「失敗の科学」「多様性の科学」 にて述べられています。
不均衡なコミュニケーション問題
均衡ではなく不均衡という名前がついているようです。要は釣り合いがとれていないということ。
集団の秩序は順位性
集団の秩序が「順位制」(メンバーの序列。ヒエラルキー)によって決まる (中略)
「ヒエラルキーはホモ・サピエンスが出現した時期どころか、それよりはるか前の霊長類種の時代から存在する」
「人間の頭や心は、序列が定められた集団の中で生きるよう設計されているのだ」
順位制にまつわる感情や言動は人間の頭や心の奥深くにプログラミングされ、我々はその存在にほぼ気づかずに生きている。
「多様性の科学」より
ロブスターにもヒエラルキーが存在しているとあり、ホモ・サピエンスより随分と前から序列に従うことはされているようで、自然とそのような遺伝子が組み込まれているのでしょうね。
冷静に考えるとたしかにそうですね。下手に上司に進言して怒られたりする危険性はつきまといますからね。中国の歴史書、史記にもそういうことは書かれてあるので(横山光輝のマンガを読んだだけなんですが)実際にそういうことはあったのでしょうね。
権威の急勾配
単純な問題であれば序列に従っていればうまく行っていたが、
現代のような複雑な問題に対してはそう単純にうまくいかないようです。
集団知、チームのメンバーの知識の共有、コミュニケーションが欠かせないとしています。一人でも有効な情報があればみんなで共有したいものですね。ただ、現実は甘くないようです。
本書では飛行機墜落事故や医療事故の実例に触れながら説明があります。
米国運輸安全委員会によれば、30件以上の(飛行機)墜落事故が、副操縦士ら乗組員が機長に進言できずにいたことに起因しているという。医療現場における26件の研究を広範に分析したあるデータでも、上司に進言し損なったことが「伝達ミスによる事故の重要な要因」だったと結論づけている。
多様性の科学より
社会的な上下関係は、部下の主張を妨げる。権威ある者に対して、我々は「控えめな表現」を使うことが多い。 (中略)控えめな表現は普段のコミュニケーションを円滑にするかもしれないが、ジャンボジェット機が燃料切れ寸前で大都市上空を旋回しているときには、大惨事を招きかねない
失敗の科学より
飛行機であれば機長、医療であれば執刀医、これらは権威があるとみなされますよね。その権威がある人と周りのスタッフの間に隔たりがある状態を権威の急勾配と呼ばれるそうです。それは普通に存在しますよね。
権威の急勾配があると、もっとこうした方がという有益な情報も進言しにくくなりますし、進言したところで聞いてくれるかどうか怪しいですもんね。
単純計算の 1 + 1 = 2 ではなく、2より小さくなってしまう状態なのでしょうね(ダメなパターン)
また、以下の文章を見ると、ビジネスのプロジェクトにおいても同様のことが起きているようです。
エラスムス・ロッテルダム大学経営大学院による研究では面白い結果が出ている。1972年以降に実施された300件超のビジネスプロジェクトを分析してみると、地位の高いリーダー(シニア・マネージャー)が率いるチームより、それほど高くないリーダー(ジュニア・マネージャー)が率いるチームのほうがプロジェクトの成功率が高かったのだ。
多様性の科学より
おそらく単純なプロジェクトであれば地位の高いリーダーの方が効率がよく遂行できるのかもしれませんが、集団知を必要とするような複雑でやることも増えてきたプロジェクトでは地位の高くないリーダーの方が、チームワークがうまく形成できて、結果プロジェクトもうまく回るということなのでしょうね。
実際、自分の仕事でも、同様のことがあります。強すぎるリーダーは助言を必要としないですし、進言しても聞いてくれない予想が働くので、コミュニケーションがうまくとれないですね。年齢差が大きかったり地位の差が大きかったりするとその傾向は大きいです。
ビジネスの現場でもそうならないように気をつけないといけませんね。自分は緩い性格なのでそんなことはあまり無いかなと思ってしまいますが、若い人も意見も言いやすいような環境づくり、そういうことに気をつけていきたいなと思います。
対策:均衡なコミュニケーションのために
個人的には、まずは、このような事実:無意識に序列を考えて行動してしまうこと、これを知る必要があると考えています。
そもそも、小学校や大学までの学校でそういうことを学んだ覚えはなく、社会人になってチーム運営について自分なりに勉強してただけですね。さすがにここまで失敗の事実を示されながら説明されたことは自分の記憶ではほとんど無かったです。
単にコミュニケーションを取ればいいというわけではないですね。
一方で、本書では、いくつか対策が挙げられていました。
一つは「心理的安全性」です。
心理的安全性は自分の意見を簡単に表明できる環境のことで、例えば突拍子もないアイディアや反対意見を話しても問題ないようなチームワークのことです。そういう環境をうまく引き出していきたいですね。
まとめ
チームに強いヒエラルキーがあれば成功するというわけではなく、複雑な問題に対処する現代では逆に悪い方向に作用することがあるというお話でした。
実際に自分の体験でも、強いリーダーに進言はなかなか出来ないですし、会議でも言いにくいことは多々あります。
そういう風に人間は設計されているという事実を知るだけでも最初の一歩になるのではと考えています。円滑なコミュニケーションをしながら進言というのは実際に行動することは難しいですが、今後に活かしていきたいです。
他にもこの本にはタメになることがたくさん書かれているので、興味がある方はぜひ本書を手にとって読んでみてください。
ここまで読んでいただきましてありがとうございました。
それではまた🐧
コメント