書評[影響力の武器]騙されやすい思考パターン

書評:影響力の武器 読書

他人に良いように操られたり、騙されたりしていませんか(少々大げさですが)。

社会心理学の本書を読むことで、影響を受けてしまう原理(武器)を知ることが出来ます。

結果的に、心理学について知ることが出来ることと、騙されにくくなります。

こんな人にオススメ
  • 人にいいように操られたり、騙されやすい方
  • 心理学、承認心理に興味のある方

この本を読むメリット
  • 騙されにくくなる
    • 人が動かされる/影響を受けるパターン(承認誘導)が分かってくるため
  • (社会)心理学の知見を得ることが出来る

Nくま
Nくま

昔から人が良すぎて騙されないようにと周りから心配されてきた私です。この本を読んで、冷静に考えることを覚えました。

少々分厚い本ですが、騙されないためにもオススメです。

はじめに

パソコンとコーヒー

みなさま、こんにちは! Nくまです。

メンタリスト DaiGo さんに影響を与えたようで、本書は凄くいい! ということで、この本を手に取りました。

私たちは簡易的な思考パターンをよく使いがちですが、陥りやすい落とし穴について紹介されています。

騙されやすい私としては、目からウロコなところが多く、さっそく実生活で応用させてもらいます。

これを機に、このような思考パターンになっていないか冷静に自分を見つめ直したいです。

また、心理学を勉強するきっかけになったので、紹介と感想、考察を書かせていただきます。

書籍:影響力の武器の概要

読書

この「影響力の武器」1冊だけで心理学について興味を覚えましたし、こんなに人ってYESを引き出されたり、騙されるんだって大変勉強になりました。

本当に何回か読み返したくなるような書籍です。

自分が知りたかったこと、人の思考パターン(判断のヒューリスティック)についてわかりやすくまとめられており、大変素晴らしい本です。

プレイベートやビジネスにも応用できそうな内容があり面白いですよ。


人間の思考法は自動的なところが多く、時間やエネルギー節約のために思考の近道を使ってしまうとのこと。

一方で、社会が複雑になりますます自動的な思考法を使ってしまいます。

そんなときに影響力の武器を持っている人に翻弄されてしまうことは簡単に想像できます。

私達の生活を振り返って、騙されたりしないように、気をつけるところは気をつけるようにしましょう。

著者について

著者のロバート・B・チャルディーニ氏

本書によりますと米国を代表する社会心理学者の一人。アリゾナ州立大学教授。

騙されやすい人だったようですが、「承諾」について人間心理のメカニズムを研究されているようです。

また、応用編の本も出版されていて、気になる方はそちらもどうぞ(シリーズになっています)。

本書に関する内容

本書に関する概要は次の通り。

本書の概要マインドマップ
本書の概要

本書は、600ページ超とページ数が多くて少々難解なところがあり、読みづらさを感じます。

ちょいと軽く読んでみようという感じでは挫折しがちなところが玉にキズです。

一方で、動物や人が自動的な思考をしてしまうことで、どのような行動をしてしまうのか、丁寧に説明してくれています。

心理学の面白さを感じることが出来ます。

また、本書で取り上げられている6つの影響力の武器を挙げてみると以下の通り。

影響力の武器 6つ
6つの武器

一つずつ簡単に見ていきます。

返報性の原理

返報性のルール:他人からなにか与えられたらお返しをしないといけないという強力な力のことです。

それ自体は社会的な規範となっていますが、これがいろいろなところに影響を及ぼすことが確認されています。

借りを返さないといけないという義務感を感じてしまうことです。以下に一例を挙げてみます。

返報性のルール例
  • 事前にジュースをもらった後だと、その人のお願いを聞いてしまいやすい。
  • 試供品を受け取ってしまうと、そのメーカーから購入する傾向が高まる。
  • 拒否された後に譲歩されると、お願いを聞いてしまいやすい。

身に覚えのあるものが多くて、ゾッとしてしまいます。

コミットメントと一貫性

一度、何かしらコミットメント(立場を明確、公言)すると、その一貫性にしがみついてしまう力が働きます。

最初に小さなコミットメントを引き出して、その後、拡大させていくテクニックがあるようです(一貫性をもたせた行動)。

人は一貫性を持ちたい、持っていると見られたいという考える傾向があるので、その考えが働いてしまうようです。

一貫性のルール例
  • 競馬場の馬券を購入すると、購入者の中でその馬が勝つ見込みが高まる。
  • クリスマスシーズンのプレゼント。子供に約束したオモチャを手に入れるために親は探し続けてしまう。
  • 簡単な質問で小さなコミットメントさせる。
    • 投票日に投票にいくつもりがあるかどうか尋ねたほうが、投票に行きやすい。

社会的証明

みんながやっていると、自分も同じことをやってしまうことです。

大人数が同じ行動をしていると、それを正しいと思ってしまいますよね。

ファーストペンギン(最初に飛び込むペンギン)を見て、次々と真似をするイメージです。

社会的証明のルール例
  • 引っ込み思案の幼稚園児たちに、短編映画を見てもらった。幼稚園を舞台にした、社会的な活動に参加して楽しそうにしている映画。それを見た子どもたちは普通の子どもたちと同じくらいよく仲間と交わるようになった。
  • 傍観者の無関心というのがある。怪我をした人が居ても誰も助けなかったり、群衆は援助をしなかったという事例がある。
    • 人に助けを求めるときは、助けてもらう人の名前を呼んだり、あるいはその人の特徴を伝えて群衆から離してしまうことが効果的。

みんなが上を見上げていると、ついつい上を見上げてしまいますが、それと似たような行為ですね。

一方で悪い例としては、自殺の記事がありました。

自殺の記事の後は、自殺者が増えるという話です(「ウェルテル効果」と呼ばれる。ゲーテの「若きウェルテルの悩み」からきている)。

社会的証明の影響力は、時と場合によっては気をつけないといけませんね。

好意

人は自分が好意を感じている知人に対してイエスと言う傾向があるようです。

友達になるのは、影響を及ぼすためという考えがあります。恐ろしいですね・・・

好意のルール例
  • 自分を好きだと言ってくれる人(お世辞を言う人)に好意を感じる傾向がある。
    • 人は、分かっていてもお世辞に弱い。
  • 車のセールスマンから好意を示すハガキを受け取った場合、その人から車を買いやすい。
  • 友人が主催すると言うだけでパーティに出かけて欲しくないものを買ってしまう。

権威

権威のある人(専門家)の言うことだから、正しいに違いないと思ってしまうことです。

権威者に対する服従は、深く考えず短絡的に聞き入れてしまう傾向にあります。

これについてもあるあるですね。

権威のルール例
  • 機長症候群:副操縦士は機長の誤りに全く注意を向けないか、あるいは機長に指摘することを躊躇してしまう。
  • 外見:警備員の服装や白衣を着た人のほうが、その人の要求を聞いてしまいやすい。

ただし、このような影響力があることを知っておけば、盲目的に聞き入れる危険性を知ることができますね。

また、その人が本当に権威ある人なのか考えてみることも有効な方法のようです。

是非、試してみましょう。

希少性

人は機会を失いかけると、その機会をより価値あるものとみなす傾向があるようです。

例として、「数量限定」、「最終期限」といった承諾誘導の戦術があります。

実体験として、たしかにこういう希少性を感じると、ついつい買ってしまったりしがちです。危ない……

希少性のルール例
  • 期間限定のイベントに行きたくなってしまう。
    • 期間限定が無ければ行きたくないものでも……
  • 数量限定、期間限定、地域限定の商品に魅力を感じて買ってしまう傾向がある。

本書に関する考察

私が気になったこと3点をピックアップさせていただきます。

コントラストの原理

比較するものが有ると、単体で見るよりさらに美しかったり、魅力的に感じることがあるということ。

例えば

  •  パーティーで最初に魅力的な人と話しした後、魅力的ではない人に会うと実際以上に魅力が無いように見えてしまう。
  •  良くない住宅を最初に見せたあと、立派な住宅を見せる不動産セールスマン
  •  自動車の売値を決めてからオプションを次々と勧めてくる自動車のディーラー

という事例が紹介されていました。

たしかに、自分も自動車本体を買うと決めてから、それに比べたら安いから、これもこれもとオプションを付けてしまってましたが、ここで示唆されている思考パターンに陥っていたようです。

言われてみないと気づかなかったです。

他にもコントラストの原理を知る機会はいくつかあります。

お店でも人でもいいのですが、最初に悪い印象を持ったあとに別の印象のいいお店や人に会うと、随分とよく感じることがあります。ほとんど無意識な領域なのですが、そういう印象を受けてしまうことに納得できます。

 

返報性の原理

他人から何かを与えられたら、相手に対してお返しをしなくちゃいけないという思考パターンです。

規範の一つにもなっており、そのため、このルールに抗うのは難しいようです。

通常の生活の上で、親からもそう教育された気がしますし(何かを頂いたらお返しをするべし)、そういうものだと考えていたのですが、悪用されるケースもあるみたいです。

たとえば、試食コーナーではタダで食べてしまったらなにかお返しを・・・と思ってしまうことは多々ありますね。

知らない人から何かもらってしまうと勧誘されやすくなってしまうとか。なかなか困ったことですね(これについても身に覚えがある……)。

また、「拒否したら譲歩」 ということもあるようです。

交渉のとき、こちらの否定に対して相手が譲歩してきたら、それに負い目を感じて、その次のお願いを聞き入れやすくなってしまうようです。

実際に使ったことはありませんが、この方法を知っておくだけでなにかの武器になりそうです。

希少性

花飾り

機会を失いかけると、その機会をより価値有るものとみなすようです。

たとえば、数量限定、時間限定など。たしかに、数時間だけ●●%オフ とか書かれると、買っちゃおうかなと思うときが有ります。

私の場合、よく楽天市場なのですが、ちょうど財布が古くなったので欲しいと思って、そういうタイムセールがあるとついつい買いそうになってしまいました。

少し時間をおいて、これは本当に必要なのか、希少性の原理が働いていないかと自問することが大事ですね。

時間をおいて冷静に考えてみると、急いで買う必要もないし、このデザインで自分は気にいるか疑問に思えてきたので購入しなかったのですが、冷静にならなければ焦って購入してしまっていました。

他にも似たようなタイムセールはあるので気をつけたいものです。

お土産屋さんでも限定品あったりすると、ついつい買ってしまおうかと考えてしまいますね。冷静に考えることが大事ですね。

まとめ

自動的な思考のため自分自身で気づくのは難しいですが、騙されやすい思考パターンがあることが分かりました。

特に騙されやすい人や、知らず知らずのうちに物を買わされていたり、頼みごとが断れなかったり、そういう経験のある方は読んで頂く価値は大いにあります。

実生活への応用が可能なものが多いため、ぜひ本書をうまく活用していただければと思います。

ご興味のある方はぜひ本書を手にとって読んでみてください。

本書のリンク:

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それではまた🐧

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